10月西部例会 安部修仁氏(吉野家HD名誉会長)

日本海政経懇話会西部例会(新日本海新聞社主催)が15日、鳥取県米子市久米町のANAクラウンプラザホテル米子で開かれ、吉野家ホールディングスの安部修仁名誉会長が講演した。社長就任後に打ち出した牛丼価格280円への挑戦や牛海綿状脳症(BSE)問題など難局を乗り越えた経験を振り返り、次世代に事業を承継するタイミングなどについて持論を述べた。
アルバイトからたたき上げで経営者となった安部氏は、吉野家が1980年に倒産した後、再建に至った経緯などを紹介した。
2003年のBSE発生により、米国産牛肉を輸入できなくなった際は、赤字覚悟で新商品の開発に注力するよう社員らを鼓舞した。その後、努力は実を結び「実際に実績を出してくれた。輸入が再開した時には、本当によく付いてきてくれたと感謝した」と振り返った。
また、経営移行に向け、次世代の幹部候補を登用した上で、代表取締役を退任し、周囲の役員も一線を退く改革を断行したことも紹介。「あらかじめ、後継者を決めて布石を打ち、いつまでに交代するかを決めておく必要がある。半ばでも実行しておかないとタイミングが遅れてしまう」と指摘し、適切な時期を見計らった上での世代交代の必要を説いた。


