3月西部例会

 日本海政経懇話会西部例会(新日本海新聞社主催)が6日、鳥取県米子市皆生温泉4丁目の皆生グランドホテル天水で開かれ、証券アナリストの森永康平氏が講演した。日本経済がインフレ基調に転換する一方、子育て世代など若年層の家計負担が増加の一途をたどっていると指摘。人口減のしわ寄せは今後、中小零細企業に向かうとし、デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応を急ぐよう促した。
 演題は「激動の時代 どうなる日本経済の展望」。森永氏はインフレを需要によって価格が上昇する「デマンドプル型」と、コスト増が価格を押し上げる「コストプッシュ型」の二つに分類し、日本経済の現状は後者に当たるとした。
 「短期的には金利や税率を下げ、国民負担を減らし、中長期的には国内投資を増やして自立的な生産力を上げる局面にある」と述べ、金利は上昇し、税金も下がらない現在の政策の方向性に疑問の目を向けた。
 物価高と金利引き上げは、住宅ローンなどを抱える若年層の負担を増やし、さらに高い賃金を求めて大企業に人手が集中する事態を招きかねないと指摘。中小零細企業はDX化や人工知能(AI)の活用を進めて生産性を向上し、人を介する仕事を減らすことが「人口減少時代を生き抜く唯一の手段になる可能性がある」として、知識の取得とスキルアップを勧めた。