7月西部特別例会
日本海政経懇話会(新日本海新聞社主催)の西部特別例会が23日、鳥取県米子市久米町のANAクラウンプラザホテル米子で開かれ、元内閣官房参与で京都大大学院教授の藤井聡氏が「クルマを捨ててこそ地方はよみがえる」の演題で講演した。車社会の過剰な進展が地方の衰退を招いたとし、公共交通の活用や歩行者が歩きやすくなる取り組みによる「歩いて楽しいまち」の復権を説いた。(25面に関連記事)
藤井氏は、昭和40年代以降に急激に進んだモータリゼーションが郊外型の大型店舗や住宅地を生み出し、それまで城下町や駅を中心に発達してきた「まちの生態系」を衰退させたとの見方を示した。
さらに、こうした社会構造の変化は、それまで地域コミュニティーを育んでいた商店街やそこに通うための公共交通の衰退、車依存の生活による運動不足と生活習慣病の増加といった「負のスパイラル」を生み出してきたと指摘。
京都市内で実施した追跡調査では、1万円の買い物をした場合、物流などを通じて地元に滞留する金額が地元商店では53%だったのに対し、大手資本のスーパーでは10%台だったことを挙げ、「可能な限り地元で消費すれば、地域にお金が回り、地元も豊かになる」と持論を述べた。
その上で、今よりも車利用を控えることを呼びかけ、バス路線の維持や歩きやすい道路の整備などに行政が積極的に乗り出すべきだとし、「歩いて楽しいまちをつくれば、負のスパイラルは逆に回る」と構造転換の必要性を強調した。