11月例会
日本海政経懇話会西部例会(新日本海新聞社主催)が27日、鳥取県米子市久米町のANAクラウンプラザホテル米子で開かれ、「文春砲」の生みの親として知られる文藝春秋総局長の新谷学氏が講演。強みであるスクープ力を磨くことで読者の支持や信頼度を高める自身の戦略に触れ、「目先の損得や権力にとらわれるのではなく、覚悟を貫き通す姿勢が大切」と、ぶれない信念で激変する社会に臨む必要性を強調した。
「スクープ連発の裏側と文春流にビジネス」が演題。2012年に週刊文春の編集長に就任した新谷氏は、人口減少やインターネットの普及で紙媒体の需要が伸び悩む中、自らの週刊誌の武器をスクープと位置付け、「とことんこだわり、核心的な強みに磨き上げよう」と周囲への働きかけを続けたことを振り返った。芸能界や政界に関するスクープを追う中で、さまざまな圧力に直面しても報じ続けたことを挙げ、「日本のメディアの多くはリスクに対して敏感で長いものに巻かれた方が良いと考えている」と批判。「リスクやコストを背負ってでも、読者の方を向き世の中に示し続けることが大事」と指摘した。
紙媒体の発行部数が減る中、週刊誌のスクープ記事を売りに電子版の閲覧数を伸ばしていることなども紹介し、「今は激動の時代。自分たちの背骨となる部分を心に刻みつつ、変化に対応すべきことを見極め、優先順位を間違えないようにしてほしい」などと呼びかけた。